隊長 齊藤栄一郎
隊長 齊藤栄一郎

KOUHEI
NAKATA

楽しく、幸せに生きる。

生産者特殊部隊 U.T.O. 隊員 中田耕平

宇土高校のそばでキュウリを生産する中田耕平さん。土づくりや肥料選びにこだわり、やわらかでありつつ歯ごたえがしっかりしたキュウリが自慢です。U.T.O.では、経理を担当するほか、話し上手な部分を活かして”出前授業”などでも活躍しています。

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バイトで培った、話術力と接客力

農家に生まれたものの、高校卒業後に工学部に進学したという中田さん。「しかも7年通っていたんですよ」と驚きの発言です。ただ、力を入れていたのは学外の活動でした。「いろいろなバイトや体験をしましたね。映画監督志望の友人に頼まれて映画製作に携わったり、選挙の参謀をしたり、出勤のためのシフト管理のプログラムをつくったり…。一時期はゲーム実況者でもありました」。学生のころから人脈があり、また、その人脈を通して依頼を受けて経験を重ねる学生時代だったといいます。

なかでもメーカーからの派遣で家電量販店におもむき、お客様に自社製品を説明するバイトが印象深かったそう。販売実績が優秀で、九州1位の成績を取ったことも。「話術と知識でお客さんを引き付ける。そういった意味で今につながっていると感じますね」。

その後、大学在籍のうちにパソコン修理業会社を立ち上げるまでに。「ただ、技術はあっても、職としては立ち行かなくなって、父に頭を下げたんです。大学を辞めて農業を継がせてくださいとお願いしました」

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消費者に喜んでほしいとU.T.O.に参入

農業を始めてみて、中田さんは「1人ではできない仕事だ」と感じたといいます。仲間をつくりたい、情報交換をしたい、と、地域の会合や青年農業者クラブなどに積極的に顔を出し始めました。

「そういった集まりから”パソコンに詳しく、数字にも強い若手がいる”といった話題がU.T.O.にも伝わったんでしょうね。発足1年が経ったU.T.O.への参入を勧められました」。

もともと、自身の生産物を食べてもらい、喜んでもらうことが好きだった中田さんは、U.T.O.参入を決心。U.T.O.での活動が始まりました。

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団体の中で心がけるのは「パスを回すこと」

U.T.O.に参入した中田さんが、まず隊長の齊藤さんに渡されたのは通帳でした。「事務局を任せるよ、と言われたので見たらどんぶり勘定もいいところ。こりゃいかん、と急いで法人化や経理的な整備に取り組みました。その中で気をつけていたのは、『リスクを取って伸びる』というより、『つぶれない仕組みづくり』。歯車を回していけば利益が落ちる仕組みをつくっていこうと考えました」

中田さんの尽力もあってか、U.T.O.は2年目からは無借金・黒字経営が続いています。

また個性豊かなメンバーがいるU.T.O.で中田さんが心がけているのは「パスを回すこと」。

「あらゆる団体が壊れる原因は、お金か人かモチベーションの3つしかないんです。お互いが嫌な思いをしないよう、出るときは出る、サポートするべきときは一歩引く。それを常に意識していますね」

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仲間や後輩に、自分が受けたものを返したい

中田さんに「地域を盛り上げていきたいといった考えは?」と尋ねると「実は『地域貢献』にまったく興味が持てないんです」と意外な答え。「『地域貢献』って定義がぼんやりしているでしょう? 別に近所に住む、名前も知らん人に何か返したいとは思わないんですよ」。中田さんは笑顔で語ります。

「返すなら、仲間や悩んでいる後輩に、ですね。上の世代から受けたものを、下の世代に返していく『ペイフォワード』の考え方はずっと根底にあります」

その現れの一つが、中田さんがほぼボランティアで続けている『中田塾』。もともと理系ということもあり、論理的な考え方に基づいた土づくり、肥料選びにこだわってきた中田さんは、若手農家の”なんとなく”が気になっていたといいます

「なんとなく肥料をやって、なんとなく収穫できて…。『農』であっても『業』ではないと感じていました。微生物の動きがこうだから、植物の成長にはこれが不可欠だから、といった理由のある農業に取り組んでほしい、と中田塾を始めました」。

講習会『中田塾』は若手農家のみならず、ベテランの農家にも好評。オリジナルのスライドは20時間分もあり、希望があれば1人からでも教えに行くといいます。

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「気分がいいこと」が幸せの形

中田さんはこれからの展望として「楽しく幸せに生きること」を挙げます。「中田農園としては、中田塾や、小学生に対する”出前授業”などによる『研究と教育』にも力を入れていきたいです。そして何より『幸せ』を追求したいという思いがあります。食べてくれる人と、自分たち両方が幸せになれば、それで十分な気がします」

「そもそも幸せって『気分がいいこと』なんですよね。お金がいっぱいあっても不幸な人は不幸だし、病気で明日も分からないといった人も自分が幸せ、といえば幸せ。気持ちで変わるものだと思うんです」。

本当に幸せに生きるとはどういうことか、朗らかな笑顔から伝わってくるようでした。

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生産物
きゅうり(9月〜6月)

※天候により出荷時期が若干前後する可能性があります